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【コラム】石巻だからできる「地域探究」 | 株式会社オーナー 佐々木敦斗さん

  • 執筆者の写真: 一般財団法人まちと人と
    一般財団法人まちと人と
  • 3月1日
  • 読了時間: 4分

石巻と私

 

岩手県盛岡市出身の私が石巻を初めて訪れたのは、2012年、東京の大学の4年生の時でした。震災から1年と少し。震災の爪痕が残る街を、日和山から見渡しました。


それから3年後、新聞記者を経て東北にUターンした私は、教育関係の仕事に転職し、この石巻を担当することになりました。石巻の高校を訪問し、高校生向けの講演をすることもありました。当時も今も仙台に住んでいますが、休日には個人的に石巻を訪れ、各地を巡りました。

川を見ながらのサイクリング。石ノ森萬画館と中瀬を見ながら食べるお寿司。県外から移住したという方々との会話。鳴り響く音楽と、アートを楽しめるフェスティバル。日和山の桜と、変わりゆく景色。

石巻には海もあれば山もあります。その自然にはぐくまれた美味しい食もあります。そして思いを持って行動している方もたくさんいます。地元で育った方、震災をきっかけに石巻に移住した方…。訪れるたびに、石巻という街と「ひと」の多様な魅力に気づかされました。



高校の探究学習の可能性

 

この「探究図鑑」にはそんな石巻の魅力的な「ひと」のストーリーがたくさん書いてあります。1人ひとりのストーリーや取り組んでいる分野は、皆さんが高校で取り組む「総合的な探究の時間」にも生かされていくことでしょう。


探究は「自分がやりたいこと」を考え、「やりたいこと」と向き合う学びです。そこに探究の面白さがあります。英語、数学…などの教科の学習で知識を身につけることはとても大切です。そして探究は未来の自分のあり方を考え、将来を考えるきっかけになると私自身の経験から実感しています。


高校時代、弓道部に所属していた私は選手になることはできず、「選手以外の役割で部に貢献する方法は何だろう」と考えました。そんな時、当時学校の図書館にあったスポーツ雑誌に目が留まりました。サッカーや野球などいろいろなスポーツに関して、選手の思いやストーリー、試合のデータが事細かく書いていて、とても面白い読み物でした。

「自分でもやってみよう」と思った私は、部活動で担当していた「大会の記録をまとめる」という役割の中で、大会で好成績を収めた選手のインタビューを記録して文章にし、的中の記録をまとめてグラフにしました。

自分は小学校の頃から運動が苦手だったのですが、この経験を通して誰かに話を聞き伝える楽しさ、スポーツや武道を客観的に見る楽しさを感じました。


今振り返ってみれば、自分自身の「探究」はこの部活動の経験だったと感じています。そして、私は大学卒業後新聞記者となり、高校野球の取材を通して甲子園に行くことも出来ました。今も、教材を作るために多くの方にお話を聞き、高校生向けに紹介しています。まさにこの部活動で「伝える」プロジェクトを経験したことが未来につながったと考えています。



地域に飛び出し、探究してみよう

 

「総合的な探究の時間」の過程の中で一番大事なことは、探究学習の最初のステップである「テーマ設定」です。自分の興味関心・感じている疑問・将来考えている進路。そういった題材の中から自ら探究するテーマを決めることが、その後の調査・まとめ・発表に繋がっていきます。


「探究図鑑」を読んで分かるように、みなさんが探究のテーマを考えるうえで、この石巻にはたくさんの「探究の種」があふれていると思います。

最初にお伝えしたように、石巻には豊かな自然と文化、みなさんの興味を引き出す「ひと」がたくさんいます。高校生の活動にもとても協力的で、先輩たちもこの石巻でたくさんのプロジェクトを生み出してきました。


インターネットも便利ですが、そこにあるのは誰もが調べることができる情報です。

皆さん自身が自分の頭と足を使い、自分の五感を使って感じたことが、皆さんにしかできない「探究」を形作ります。ぜひみなさんもすぐそばにあるフィールドに飛び出してみませんか。




 

佐々木敦斗

1990年岩手県盛岡市出身。全国紙の新聞記者、リクルート(スタディサプリ)を経て2021年夏に株式会社オーナーを創業。高校生向けの「総合的な探究の時間」の教材「GATEWAY」を開発した。


※GATEWAYは2023年4月現在、無料で利用することができます。探究活動のヒントが詰まっているので、ぜひご活用ください!


 
 
 

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